一方で、<現在、野崎氏の相続財産は、市と野崎氏の配偶者との共有状態><配偶者の代理人弁護士を通じ、市に対して民法1031条に基づく遺留分請求の意思表示>とある。

 報告書でも、Sさんと遺産分割の協議が必要との見解を示している。野崎氏の遺産、約13億2000万円は田辺市とSさんが分け合う形となる可能性が高いとみられる。

 田辺市が遺贈を受け取るために見込まれる費用約6000万円は、9月中の市議会で可決される見込みだ。

「野崎氏は昭和、平成の時代に何度も田辺市に多額の寄付をして頂き、表彰もさせていただいている。それもあって、田辺市に遺産も寄付したいという思いが生前からおありだったのと察します。遺贈を受けた際には、市のために有効に活用したい」(田辺市関係者)

 今後、田辺市と妻のSさんとの協議が注目される。(今西憲之)
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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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