一方、テレビショッピングの愛好者自身も、だまされないように注意が必要かもしれない。テレビショッピングをあまり利用しない30代や40代の女性は仕事や子育てで忙しく、自由に使える時間が短いため、商品を購入する際は、インターネットの価格比較サイトを見て安いところで手早く買う。一方、テレビショッピングの番組で商品を購入するのは、ゆっくりと時間を過ごせる人。

「価格比較行動ということでいえば、最近はパソコンを開かず、情報に受動的になっている人が多くなりました。男性は価格の比較をすることが多いですが、テレビをよく見ているシニア層は、見ているものを買いやすい。テレビで言っているのだからと信じやすく、売り手側もメッセージを効果的に出しています」

 テレビショッピングの利用者は、価格の比較をしなくても放送された商品をそのまま買うのがハッピーな人たちと村山さんはみている。それだけお金に余裕があるともとれるが、村山さんは加齢とともに買い物をする際に商品情報を分析・判断する能力はどんどん衰えていくと指摘。さらに情報の分析・判断そのものが面倒になってくるものだ。

 そうしたなかで、テレビショッピングの番組で、商品は「残り少ないです」と言われると、本当は必要でなくても買ってしまうのだという。衝動買いに近い行動を取りがちだと認識しておいたほうがいいだろう。

 高齢化が急速に進む日本では、テレビショッピング市場の成長はまだまだ続きそうな気配。日本通信販売協会の全国通信販売利用実態調査(18年)によると、今後利用したい媒体としてテレビショッピングは男性の13.6%に対して女性のほうが20.8%と高い。年代別では、女性が50代以降に急に高くなっているほか、男性では70代以降の半数近くが利用したいという。

 エンターテインメントとして楽しみつつも、くれぐれも要らないモノまで買わないように気を付けたいものだ。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2019年9月20日号より抜粋