「一つの目標であったオリンピック出場を(16年の)リオで達成して以降、自分の気持ちやモチベーションに違和感を感じながらその後の代表活動をしていました。昨年ぐらいから、120%の力を出し切っても自分が満足いくプレーができていなかったり、ベストパフォーマンスができなかったり、自分が思い描くバスケットをできずに歯がゆい思いをしながらやっていました。それも理由の一つで引退しようという決断に至りました」

 吉田は引退後、日本バスケットボール協会(JBA)からJBAアンバサダーに任命され、育成世代向けの指導や代表戦の試合解説を務めていた。7月末には、新宿区で小中校生向けのバスケットボール体験教室に参加した。イベント担当者はこう話す。

「キャプテンシーのある人で、しっかり頭で考えてやるような動きの仕方や、日頃の練習の取り組み方について、参加した子供たちに話していました。普段の会話は柔らかい吉田さんでしたが、練習では強い口調でしっかり説明しながら指導していましたよ」

 こうした指導のなかで再燃したバスケへの思いが、再び彼女をコートに呼び寄せたのか。

「色んな覚悟を持って戻って参りました。Last challengeという思いを持ち、これまで以上に精進して参ります」(9月2日、吉田が自身のSNSに載せたコメントより)

 女子バスケで日本は現在、世界ランク10位。来年の東京オリンピックでのメダル獲得に向け、激しい競争が繰り広げられている。世界で上位争いできる実力があるのだ。代表歴の長い吉田が、日本代表にどんな刺激を与えるのか注目したい。(本誌・緒方麦)

※週刊朝日オンライン限定記事