「その晩、1万人もの方々が亡くなったといいます。私たちは機銃掃射も受けました。でも生き残ったんです。神様に生かしていただいたと思っています。そんな命ですから、平和な時代を一日でも長く生きて、他の方々の役に立てればうれしいです」

 自身の経験を伝えることで年配者に少しでも元気になってほしいと、今春、『すごい90歳』(ダイヤモンド社)を上梓。ベンチプレスに魅かれた様子や食生活などを記している。

「身体は食べ物で作られるわけですから」と語る奥村さんは、決して外食をしない。塩分が多いうえ、油の質が低いことが気になるからだ。高品質の食材を使って必ず自宅で料理する。

 毎朝起きたら梅干しとお茶をいただく。朝食はご飯70グラムと常陸牛のソテー100~130グラム。生野菜は食べず温野菜を摂るなど、長年の試行錯誤から自分の身体に合うとわかった生活習慣を続けている(下記表)。

 奥村さんは着る物についても一家言持っている。

「体形が全然変わらないから、新しい服を買う必要がないの。昔買った質の良い服を丁寧に扱って、何年でも着ています。今日ジムに着てきたポロシャツは、還暦のお祝いで主人がグアムに連れていってくれたときに買ったもの。30年近く着ていることになるわね(笑)。下はいつもジーパン。服を買うお金は、全部食費に回しています」

 そのうえで「女性」を意識することが大事という。

「主人からよく言われました。『年寄り臭い服を着るな。いくつになっても女なんだから』と。その通りよね。好みの男性を見たら、『ああいい男だな』とワクワクするの。これがなくなったらおしまいよ」

 思わず「最近、いい男はいましたか?」と尋ねると、「たくさんいるわ。もう千切っては捨て、千切っては捨ての繰り返し(笑)。この頃は万葉集を繰り返し読んでいます。昔の人の恋って情緒がありますわねえ」

 そう語る奥村さんに「若い頃はもてたでしょう?」と水を向けた。すると学生時代に明治大学生からラブレターをもらったときのことをうれしそうに語り出し、乙女の一面を見せた。

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