「バカヤロー! お前らの会社はどうなってるんだ!」


「どうされましたか?」
「いきなり解約になるって手紙がきたんだよ!」
「今すぐ上の者に代われ! 責任者を出せ!」
「どうされましたか?」
「昨日行った店舗の店員の態度が悪かったんだよ!」

 こうして謝罪の代わりに質問をすることで、スムーズに本題に入ることができる。

 コールセンターに電話をかけてくるお客様の中には、意図的にオペレータを攻撃し、謝罪させることによって自尊心を満たそうとしてくる人がいる。いわゆるハラスメントをしてくるお客様だ。

 そんな相手には、必要以上に謝罪をすることは相手を悦ばせるだけで、電話を短く終わらせるためには逆効果だ。けれど、私たちはついつい相手が怒っていると謝ってしまう。相手が顧客であればつい下手に出てしまう。

 謝罪は道具なのだ。必要以上に謝ることなく、一番効果的なタイミングで謝罪をする。そしてなるべく時間をかけないで、辛いクレームは短く終わらせる。だから意識して「謝罪」を使う、それがハラスメントに対処する第一歩だ。

 そのために、まず知らず知らずに自分に「謝り癖」がついていないかを自覚しよう。そして謝罪の代わりになる言葉を用意して、つい謝ってしまいそうになる時にはその言葉を代わりに使っていくことが有効だ。(榎本まみ)

※週刊朝日オンライン限定

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榎本まみ

榎本まみ

榎本まみ(えのもと・まみ)/新卒で督促を行うコールセンターに入社するも心を病んで辞めていく同僚を見て一念発起。クレームや罵詈雑言からオペレータの心を守る独自メソッドを開発。現在もコールセンターで働きながらコラムや漫画を執筆している

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