写真左から大迫傑、設楽悠太、鈴木亜由子、福士加代子 (c)朝日新聞社
写真左から大迫傑、設楽悠太、鈴木亜由子、福士加代子 (c)朝日新聞社
※「AERAmookマラソングランドチャンピオンシップGUIDE」(朝日新聞出版)を元に作成しました  (週刊朝日2019年9月20日号より)
※「AERAmookマラソングランドチャンピオンシップGUIDE」(朝日新聞出版)を元に作成しました  (週刊朝日2019年9月20日号より)

 開幕まで1年を切った東京五輪の代表を決めるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)が9月15日、東京・明治神宮外苑発着の42.195キロで争われる。男子31人、女子12人が出場予定で、各上位2人が代表に内定する。夢舞台につながる一発勝負の見どころを紹介する。

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 代表選考はこれまで様々な騒動があったが、今回は順位がすべて。互いに牽制(けんせい)し合ってスローペースで進む展開が予想される。ペースメーカーがつかず、午前のスタートとはいえ残暑は厳しい。体力や精神力に加え、駆け引きを乗り越える対応力も求められる。

 男子は「4強」を中心にレースが進みそうだ。

 筆頭は、昨年10月の米シカゴ・マラソンで、2時間5分50秒の日本記録を樹立した大迫傑(ナイキ)。3月の東京マラソンは途中棄権に終わったが、「いい意味でMGCの予行演習ができた」と前向きだ。暑さ対策を兼ねて8月には米ダラスでのハーフマラソンに出場し、優勝した。風貌(ふうぼう)も変わり、髪を短く刈り込んで耳にはピアス。王者の表情には自信がみなぎる。

 その大迫にライバル心を抱くのが、同学年の設楽悠太(ホンダ)だ。

「学生のころからずっと意識していた」

 自身の日本記録を塗り替えられたことで、その思いは増した。7月には北海道で、双子の兄・啓太(日立物流)と東洋大時代以来となる合同合宿をした。啓太はMGCに出場しないが、「刺激をもらった。勝てる自信しかない」と強気だ。

 成長著しい井上大仁(MHPS)は暑さに強い。高温多湿だった昨夏のジャカルタ・アジア大会で金メダル。保冷剤、ドリンク、冷やした帽子が入った冷却セットを用意して臨んだ。

「MGCでは、それのバージョンアップを考えている」

 昨年の福岡国際で優勝した服部勇馬(トヨタ自動車)は、課題の「35キロ以降の落ち込み」を克服できるかが鍵を握る。自身4回目のマラソンとなった福岡国際では水分と糖質を補う2本の給水ボトルを交互に口にするなど工夫を凝らし、克服してみせた。

「福岡の時のような走りをしたい」

 この4強を脅かす存在が、佐藤悠基(日清食品グループ)だ。東海大時代に箱根駅伝で3年連続して区間新記録をマークし、日本選手権1万メートルでは2011年から4連覇。スピードに絶対的な自信を持つだけに、体力を温存して終盤に持ち込めれば、勝機は十分にある。

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