二階堂:私は、クズであればあるほど「面白い」と思ってしまいがちです(笑)。魂を削りながらモノを作っている人は、何かしらが欠落してて当然とも思うので。ただ、役者としてそこに共感してしまうと終わりな気がしています(笑)。

──いまの時代に、この作品が作られた意味をどう感じていますか?

小栗:あの時代だから成立したんだと思いますが、「こういうふうに生きられたら男として楽だな」というのはあります。いまの時代から見ると反面教師のような感じです。いろいろ炸裂したお話なので、爽快感のあるエンターテインメントとして見てもらえるんじゃないかと思います。

沢尻:許容範囲が広い時代でも、太宰はギリギリで生きてきたんですよね。いまの時代はそこを楽しんでもらえるかな。

二階堂:時代に合わせたねじの外れ方をしていた太宰が、いまどう見えるか、ひとつの答え合わせな気がしています。私は、いままでより太宰を人間として感じられましたが、みなさんがどう感じるのか楽しみです。

(取材・文/早川あゆみ)

週刊朝日  2019年9月20日号