話をプロ野球に移そう。セ・リーグは巨人に優勝マジックが点灯した。今年は大型連勝と大型連敗がさまざまなチームに出ている中で、巨人は大きな波を作らずにここまできた。野手では丸佳浩坂本勇人、投手なら山口俊と菅野智之が中心となって、脇役たちも能力をしっかり発揮してきた結果だ。個々の選手の役割がどこにあるのか、局面で何をしなければいけないのか。その小さな積み重ねが100試合以上戦ってくると、差になって出てくる。

 セ・リーグを見ていると、巨人だけが戦力が高かったわけではない。力をグラウンドで出せた回数が、他チームを上回ったということだろう。失敗を繰り返すのか、繰り返さないのか。2軍に落ちた選手が、何が足りないのかを考えて日々過ごすのか。ちょっとしたことで年間の5~10勝は変わってしまう。

 パ・リーグはソフトバンク西武が追いかける図式だが、下位チームとも差がない。クライマックスシリーズの争いも含めて最後までもつれるだろう。ただ、1勝の重みが増す試合で、先制点は大切になる。そして救援陣の力だね。試合終盤の1アウトをしっかり取れる救援陣の質の差が絶対に出てくる。勝てる試合を落とすことが、一番のダメージになるし、相手に勢いを与えることにもなる。久々に面白いペナントレースになった。

週刊朝日  2019年9月13日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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