立命館大学環太平洋文明研究センター長で自然災害に詳しい高橋学教授はこの地域についてこう見る。

「最近、東京湾や千葉市辺りを震源とする地震が増えており、リスクは確実に高まっています。昨年、北海道で東日本大震災の余震とみられる震度7の地震が起きましたが、千葉や茨城ではまだその余震とされる大きな地震が起きていない。今後、大きな余震が起きる可能性があることも知っておいてもらいたいです」

 神奈川県では、相模湾に面する茅ケ崎市が震度6強以上となる確率が41.2%と最も高い。横浜市では内陸の港北区や戸塚区などで震度6強が35%、川崎市も内陸の中原区と幸区が6強の確率が33%前後と高くなっている。

 次に西日本のリスクを見ると、東日本よりも圧倒的に数値が高い。

 静岡県の袋井市、浜松市南区、御前崎市、高知県北川村では、震度6強以上の確率が70%を超えた。30位の静岡県吉田町でも61%あり、東日本で1位だった山梨県中央市の52.8%より高い。

 たしかに、南海トラフの位置を考えれば、西日本のほうがリスクが高くなるのは自然だが、高橋教授はこう指摘する。

「今年4月ごろから、和歌山県南部、三重県南部、紀伊水道、徳島県南部、高知県で地震が増えている。南海トラフ地震はほぼ起き始めていると言ってもいい。最悪のケースは、南海トラフと連動して(相模湾から房総半島南東沖にかけての)相模トラフも動く『スーパー南海地震』が起きる可能性もある。そうなると、チリで起きた観測史上最大の地震M9.5に匹敵する地震もあり得ます」

 今回、気象庁の震度データベースを使い、各自治体の過去10年間の地震の回数を調べたところ、茨城県日立市が4510回で全国1位、次いで福島県いわき市が4101回だった。全国平均が323回なので10倍以上揺れていたことになる。東日本大震災の余震や誘発して起きた地震によって回数が増えた。

 地震が多く起きれば、ゆがみが解消され、地震のリスクが減ると見る人もいるが、東北大学災害科学国際研究所の遠田晋次教授はこう指摘する。

「小さい地震が起きれば起きるほど、大きい地震も起きやすくなる。中長期的にみれば、東日本大震災でゆがみが解消された地域はあるかもしれないが、基本的には地震が続くことで、大きな地震が起きる素地ができていると見たほうがいいです」

 対策はどうするべきか。水害については、各自治体で公表している「ハザードマップ」を参照することが有効だ。公表しているリスクの内容は自治体によりけりだが、洪水や土砂災害などで被害を受ける地域を詳細に説明している。

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