ミッツ・マングローブ「『リアルおっさんずラブ』のファンタジー論」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ミッツ・マングローブ「『リアルおっさんずラブ』のファンタジー論」

連載「アイドルを性せ!」

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ミッツ・マングローブ週刊朝日#ミッツ・マングローブ
ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

リアルすぎるとファンタジーをぶちこわす?  (c)朝日新聞社 (※写真はイメージです)

リアルすぎるとファンタジーをぶちこわす?  (c)朝日新聞社 (※写真はイメージです)

熱視線

ミッツ・マングローブ

978-4023318342

amazonamazon.co.jp

 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、「ドラマ『おっさんずラブ』」を取り上げる。

*  *  *
 現実(リアル)は幻想(ファンタジー)をぶち壊す。しかし現実を目の当たりにし幻滅するのは誰のせいでもなく、己の感性以外に理由はありません。好きなアイドル歌手への熱がふと冷めるのも、妻や旦那にときめかなくなるのも、すべてその人の感じ方次第。誰のせいにもしない──。それが幻想を抱く側の鉄則です。

 ところで、昨年から田中圭さん主演のドラマ『おっさんずラブ』が大人気を博し、この度ついに映画にもなったとか。人は幻想や妄想を抱く時、やたらと「妙にリアル」という点を求め強調したがります。この『おっさんずラブ』もまた、万人(特に女性)が立ち入れない禁断の世界に「おっさん」というリアル要素を“まぶした”辺りが絶妙なのでしょう。程良いリアリティーは、各々のファンタジーに限りないオリジナリティを持たせます。

 そして田中圭さんの勢いも凄まじい。爽やか具合も、力の抜き加減も、歳回りも、今やすべてにおいて「妙にリアル」の塊みたいな人です。3年ぐらい前にドラマで共演させてもらったことがあるのですが、とにかく掴みどころのない不詳感が満載で、却(かえ)ってそれが「妙にリアル」で印象的だった記憶があります。そこへ来て、脱いだらあの肉体です。まさに「夢と現実の黄金比率」。来るべくして来た「時代の寵児」です。あのちょっと疲れていそうな雰囲気も、世の女性たちにとっては安心して萌えられるリアル要素なのでしょう。

 ここまで書いておいてナンなのですが、実は私『おっさんずラブ』をほとんど観たことがありません。理由はいたって簡単。私にとっての「妙にリアル」がそこにはない気がするからです。田中圭さんの色気と愛くるしさには萌えます。しかし「サラリーマン同士の胸キュン恋愛模様」に幻想(ファンタジー)を抱くには、私の存在や環境がリアル過ぎるのかもしれません。誰のせいでもない、私自身の問題です。


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