巨人の中島宏之(C)朝日新聞社
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巨人の森福允彦(C)朝日新聞社
巨人の森福允彦(C)朝日新聞社

 巨人が5年ぶりのリーグ優勝に向けて首位を快走している。2位・DeNAと直接対決を6試合残しているため油断は禁物だが、圧倒的有利な状況は揺るがない。

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 在京スポーツ紙デスクは、首位快走の理由として原辰徳監督の手腕を指摘する。

「原監督の巧みな用兵術が際立っています。まさしく全員野球で試合中に選手を迷いなく次々に起用するのが特徴です。坂本勇人丸佳浩ら主力だけでなく、増田大輝、石川慎吾、若林晃弘ら脇役も大事な場面で仕事をして貴重な戦力になっている。昨オフに西武から炭谷銀仁朗をフリーエージェント(FA)で獲得した際は批判的な声もありましたが、小林誠司、大城卓三と捕手3人制が見事にはまっています」

 若手だけではない。指揮官は適材適所の起用法でベテランもよみがえらせた。筆頭格が36歳右腕・大竹寛だ。昨年はわずか2試合の登板で戦力構想外の危機だったが、今季は6月下旬から救援に配置転換され、輝きを取り戻した。2日現在、23試合登板で3勝7ホールド、防御率3.05。シュートとスライダーの横の揺さぶりで凡打の山を築き、マウンド上の表情も自信を取り戻した。今や勝利の方程式として欠かせない存在となった。

 一方で、指揮官の期待に応えられなかった選手もいる。オリックスを退団し、推定年俸1億5千万円の1年契約で昨オフに加入した中島宏之は43試合出場で打率1割4分8厘、1本塁打、5打点。指揮官は右の代打で辛抱強く起用し続けたが結果を残せず、7月下旬にファーム降格。現在もファームで調整している。

 また、2016年オフにソフトバンクからFA移籍で加入した左腕・森福允彦も背水の陣を迎えている。昨年は2試合登板のみで防御率13.50と期待を裏切ると、今季も7試合登板で防御率6.23。6月21日のソフトバンク戦(東京ドーム)で左打者の福田秀平に満塁弾を浴びたマウンドを最後に1軍の登板から遠ざかっている。

 中島はかつて西武でクリーンアップを担い、09年の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では侍ジャパンの指揮官を務めた原監督の期待に応え、不慣れな2番で打率・364をマークして世界一に貢献した。

 森福もソフトバンク時代に左のセットアッパーとして11~16年の6年間で計131ホールドをマーク。救援陣の屋台骨を支えた。

 両選手は共に実績十分だけに、成績が出ずに歯がゆい思いもあるだろう。まだシーズン、クライマックス・シリーズと大事な試合が残っている。勝負所で挽回(ばんかい)のチャンスが巡ってくるかもしれない。中島、森福には意地を見せてほしい。(梅宮昌宗)