東海林:商業捕鯨の再開で値段が下がれば、もっとたくさんの若い人が食べて、鯨肉のファンになってくれるのでは、と思います。

小泉:7月1日以降、北海道の網走市と釧路市、青森県八戸市、宮城県石巻市、千葉県南房総市、和歌山県太地町、山口県下関市で次々と漁を開始しました。関係者の話では、ニタリクジラなどが捕れすぎて、驚いていたようです。

東海林:そうですか。

小泉:今回の再開で決まった捕鯨頭数は383頭で、調査捕鯨の昨年の637頭より4割少ない。来年はもっと増やすでしょうね。

 実は、日本の周辺海域では、鯨はとても増えています。たとえば、新潟から佐渡島へ向かう高速船が一番警戒しているのは、鯨との衝突事故なんです。

東海林:そもそもなぜ、商業捕鯨が再開されたのでしょうか。

小泉:鯨の資源利用について、IWCの反捕鯨国と日本の間であつれきが生じ、今年6月30日に脱退したのです。

 もともとIWCは、鯨を持続的に利用する目的で設立された国際組織です。それが、次第に反捕鯨国の意見が優勢になった。

東海林:IWCで反捕鯨国はどのくらいですか。

小泉:加盟89カ国のうち、米・英・仏・独・豪・ニュージーランドなど48カ国。賛成国は、日本・中国・韓国・ロシア・ノルウェー・アイスランド・コートジボワールなど41カ国です。

東海林:賛成国は捕鯨をしているのですか。

小泉:捕鯨に関係する国はわずか7カ国です。あとは捕鯨に関係のない国やモンゴルのように海に面していない国もあります。一方で、ノルウェーやアイスランドは、北西大西洋で、絶滅危惧種ではないミンククジラの捕鯨を続けています。

東海林:彼らはなぜ、許されているのですか。

小泉:鯨の保護団体の色合いを強めたIWCは、82年の総会で商業捕鯨の一時停止を決めました。

 ノルウェーとアイスランドは、異議を申し立てて受け入れを保留したまま捕鯨を続けています。ところが日本は、米国の圧力に負けて88年に捕鯨を中断してしまったのです。以降、調査捕鯨に切り替えていた日本は、ノルウェーから鯨肉を輸入しているんですよ。

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