去就が注目されるヤクルトのバレンティン(C)朝日新聞社
去就が注目されるヤクルトのバレンティン(C)朝日新聞社

 ヤクルトの長距離砲・ウラディミール・バレンティンの去就が注目されている。8月17日に出場選手登録が8年に達して国内フリーエージェント(FA)権を取得。メディア報道によると、「オフには他の選択肢を視野に入れながら考えたい」と移籍の可能性を示唆した。スポーツ紙デスクはその発言の真意をこう分析する。

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「バレンティンはヤクルトでの待遇に不満があるわけではありません。東京での生活は快適で満足しているし、日本で野球人生のキャリアを終えたいと明言しています。ただ一選手として優勝が狙える環境でプレーしたいという思いはあるでしょう。ヤクルトは昨年2位に躍進しましたが、今年は最下位に低迷しています。チームが若手に切り替える過渡期で来年も優勝を狙うのが厳しい状況です」

 それでは意中の球団はどこなのか?

「パ・リーグは指名打者制で守備の負担がないですが、考えにくいですね。慣れ親しんだセ・リーグでプレーするほうが現実的です、移籍の選択肢として可能性があるのは巨人か、通勤圏内の横浜に本拠地を置くDeNAになるでしょう」(前出のデスク)

 バレンティンは11年に来日以降、ヤクルト一筋でプレー。13年はシーズン60本塁打のプロ野球記録を樹立し、セ・リーグの最優秀選手(MVP)に選ばれた。今年で35歳。全盛期のパワーはないが、26本塁打をマークしている。来季から日本人選手扱いとなることも大きなプラスアルファだ。他球団が獲得に乗り出す可能性は十分にある。

 ネックになるのが、左翼の守備力と4億1000万円の高年俸だ。左翼の守備範囲が狭く、「攻守で総合的に見れば大きな戦力になるかは疑問が残る」と指摘する球団フロントもいる。

 気になるのが巨人、DeNAの「左翼事情」だ。巨人は今年限りで2年総額8億円の契約が切れるゲレーロが夏場に入って調子を上げている。来季の残留は微妙な状況で、その動向がバレンティンの去就にも影響を及ぼすだろう。

 DeNAは筒香が昨オフの契約更改の席で、ポスティング・システムを使ってメジャー移籍の希望を球団に伝えたことを明かした。今オフにメジャー移籍が実現すれば、浮いた「筒香資金」でバレンティンの獲得を検討する可能性はあり得る。

 ヤクルトが下交渉でどのような条件提示を出すかも注目される。チームを長年支えてきた功労者の慰留に努める方針だが、減俸は避けられない。愛着の強いヤクルトに残留するか、他球団に移籍か。バレンティンの決断に注目される。(梅宮正宗)

※週刊朝日オンライン限定記事