イラスト・坂本康子 (週刊朝日2019年9月6日号より)
イラスト・坂本康子 (週刊朝日2019年9月6日号より)
イラスト・坂本康子 (週刊朝日2019年9月6日号より)
イラスト・坂本康子 (週刊朝日2019年9月6日号より)

 若い世代にとって面倒なのは上の人間。特に再雇用されたシニア社員も増えているなか、疎ましいのがマウンティングおじさん・マウンティングおばさんだ。なぜ彼ら彼女らは、必要以上に「上から目線」になってしまうのか。ライフジャーナリストの赤根千鶴子氏がレポートする。

【画像】こんな人こそ危ない!マウンティングおじさんの例がこちら

 内閣府が6月に公表した「令和元年版高齢社会白書」によると、労働力人口総数に占める65歳以上の割合は12.8%と上昇し続けている。また65歳以上の起業者の割合も増加。現在仕事をしている60歳以上の約4割の人が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答という結果からは、“生涯現役”をめざすシニアが明らかに増えてきていることがわかる。

 高齢者が元気であることは実に喜ばしいことだが、その一方で話題になってきているのがマウンティングおじさん・マウンティングおばさん問題だ。定年後再雇用でシニア社員として会社に戻ってきた元・管理職の「上から目線」がウザイ。バイト先のシニア女性の自慢話につきあわされるのは、面倒くさくてもうイヤ。ネット上ではマウンティングシニアを敬遠するつぶやきや嘆きが増加している。「上から目線」で他人に接していれば、どんどん嫌われていくのは火を見るよりも明らかだろう。にもかかわらず、なぜに人は「上から目線」がやめられないのか。

『職場の紛争学』の著者で人事コンサルタントの各務晶久さんは言う。

「そういう人は、そもそも若いときからその傾向があるのです。自分の優位性を誇示する人というのは、プライドが高いだけでなく、そのプライドを安定して保持することができません。つまり心のどこかに自信がなくて、自己肯定感が低い。でも『自分を認めてほしい』という承認欲求は高い。そして権限やパワーを獲得したいという欲もある。この3つがそろうと、人は他人に『上から目線』で接するようになるのです」

 おまえより自分のほうが上だ。こっちのほうがエライんだからな。それをわざわざアピールするというのは、よほど不満を抱えて生きている人なのでは?

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