巨人の坂本勇(左)と山口 (C)朝日新聞社
巨人の坂本勇(左)と山口 (C)朝日新聞社

 巨人が5年ぶりのリーグ優勝へ、着実に足場を固めている。21日の中日戦(ナゴヤドーム)で5―2と快勝して6連勝。22日は敗れたが、23日にもマジックナンバーが点灯する。残り31試合で2位・広島と6.5ゲーム差。広島は17日にサビエル・バティスタがドーピングで陽性反応が出て戦線離脱したのが大きく響く。代役がいない長距離砲だけに、逆転優勝でのリーグ4連覇は厳しい状況だ。

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 気が早いかもしれないが、今季のリーグMVPは誰になるだろうか。優勝球団から選ばれる可能性が高いため、巨人がリーグ制覇した時に有力視されるのが坂本勇人丸佳浩の両選手だ。22日現在、坂本勇は今季自己最多でリーグトップの32本塁打をマーク。打率3割4厘、32本塁打、80打点と申し分ない数字を残している。遊撃で史上初の「打率3割、30本塁打、100打点」を達成する可能性が十分にあり、最優秀選手(MVP)の最有力候補だろう。

 この男の加入がなければ優勝はなかったと断言できるほど、絶大な存在感でチームを支えたのは、広島からフリーエージェント(FA)移籍で加入した丸だ。20本塁打は昨年の39本と比べるとペースが落ちるが、打率3割台をキープ。チャンスメークにもポイントゲッターにもなれる。今まで巨人に欠けていたピースがはまり、打線に厚みが増した。広島で3年連続リーグ優勝の主軸として活躍し、その経験をチームに還元している影響力も大きい。

 坂本勇、丸のどちらかがMVPになるのではないかと予想する声が多い中、今季の働きぶりがMVP級と絶賛されている選手がもう一人いる。山口俊だ。FA移籍3年目の今季は12勝2敗、防御率2.85。投手部門のタイトルをすべて射程圏内入れる好成績で、開幕から投手陣を引っ張ってきた。エース・菅野智之が不調で苦しんだ時期があっただけに、山口の活躍ぶりがひときわ光る。巨人担当の番記者も絶賛する。

「山口投手にチームは何度も救われました。救援陣が不安定な時があった中、長いイニングを投げられるし大崩れしない。個人的にはMVPを獲得するにふさわしい成績だと思います」

 開幕から先発の柱として活躍してきた山口は、今月1日に右ひじ周囲の筋肉に張りを訴えて登録抹消されたが、ローテーションを一度飛ばしただけで復帰。18日の阪神戦(東京ドーム)で自己最多の12勝目をマークした。シーズンの山場を迎える9月。活躍次第ではMVP獲得の可能性は十分にあるだろう。(春日哲也)

※週刊朝日オンライン限定記事