燥タイプは体に水気がない(皮膚がカサカサしている)人。湿タイプは体に水気が多い(すぐにむくんだり、むくみっぽい)人です。

 この三つの対立したタイプを組み合わせると、「熱実燥」「熱実湿」「熱虚燥」「熱虚湿」「寒実燥」「寒実湿」「寒虚燥」「寒虚湿」の8通りのタイプが出来上がります。もちろん、人間はもっと複雑なもので、八つのタイプに分類されるものではありませんが、大雑把に自分はどのタイプかを知ることができます。

 ちなみに私のことをいいますと、まず熱タイプです。身体が熱を保持しやすいので一年中、薄着で間に合います。真冬でも仕事中は裸足です。

 また体温が上昇し過ぎるのを防ぐためにしばしば下痢をします。突然の下痢です。しかし、そういう体質だとわかっているので、あわてません。

「実」と「虚」については実の方だと思います。高血圧で、突然の下痢以外は便秘気味ですから。実タイプの人は辛いものや苦いものを食べるといいのです。大根、鶏卵、酢、コショウ、カレーなどです。

「燥」と「湿」については、どちらかというと燥です。燥タイプが食べるといいものは豆腐で、私は大好物なので、ばっちりです。

 自分の体質を知ると、何が自分にとって自然なのかがわかります。そこからはずれたら要注意です。みなさんもまず「己を知る」ことを始めてください。

週刊朝日  2019年8月30日号

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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