清田隆之(きよた・たかゆき)/1980年、東京都生まれ。文筆業、恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。早稲田大学第一文学部卒業。恋愛とジェンダーを中心に執筆。桃山商事の著書に『生き抜くための恋愛相談』など。 (撮影/横関一浩)
清田隆之(きよた・たかゆき)/1980年、東京都生まれ。文筆業、恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。早稲田大学第一文学部卒業。恋愛とジェンダーを中心に執筆。桃山商事の著書に『生き抜くための恋愛相談』など。 (撮影/横関一浩)
『よかれと思ってやったのに 男たちの「失敗学」入門』晶文社 1400円
『よかれと思ってやったのに 男たちの「失敗学」入門』晶文社 1400円

 家事の分担、育児参加、セクハラなど、男女にまつわる意識のアップデートが求められる今、うってつけの本が現れた。女性が男性に抱く不満や疑問をコミカルかつ論理的に考察し、対処法を示してくれる。清田隆之(桃山商事)さんが書いた『よかれと思ってやったのに 男たちの「失敗学」入門』(晶文社、1400円※税抜)だ。

【『よかれと思ってやったのに 男たちの「失敗学」入門』はこちら】

「妻の機嫌が悪い、彼女とうまくいかない、職場の女性といい関係を築きたい、という男の人に読んでほしい。女の人はモヤモヤしていたことがクリアになる気持ちよさがあるのでは」

 と清田隆之さんは話す。清田さんは大学生だった18年前、恋愛の話を聞くサークル「桃山商事」を仲間と立ち上げた。これまでに約1200人の女性の話を聞き、恋愛エピソードをウェブの連載や本で紹介する活動を続けている。今では結婚生活の相談も寄せられるようになった。

 女性たちが語る男性への不満や疑問には、驚くほど似た話が出てくるという。帰宅時間を知らせてと言ってもいきなり帰ってくる、愚痴を言ったら解決策を提案された、職場の男性をほめたら好意があると勘違いされた……。彼女たちが同じことを言うのはなぜなのか。清田さんはエピソードを一つずつ検証していった。

 例えば、ゴミの捨て方を注意しても覚えない、結婚式の準備を任せきりにするなどの話には、ちょっとした面倒を女性に押し付けるという共通点がある。背景に「それは女の仕事でしょ」という意識が見えてくる。

 なぜ男はよく考えずに金を使うのか問題も頻発している。買い物の計画を話し合ったばかりなのに高圧洗浄機を買ってくるようなケースだ。窓がきれいになると言うけれど、本人は窓の掃除なんかしたことがない。

「オレの金なんだからいいだろうとか、よかれと思って買ってきたとか、女の人の言い分と比べると明らかに幼稚。買ったことで得られる、自分がすごくなった感にお金を払っている」

 もちろん、清田さん自身も身に覚えがないわけではない。結婚の話し合いを先延ばしにして彼女に振られたとか、購入したエアロバイクが物干しとなって妻の視線が冷たいとか、当事者としての反省も綴っている。

次のページ