そのしのぶの父親は七代目尾上菊五郎、母親は大女優の富司純子、そして弟は五代目尾上菊之助と、歌舞伎界のサラブレッドだ。

 しのぶの眞秀に対する思いには特別なものがあると、しのぶとも親交がある喜熨斗さんは言う。

「しのぶさんは自らが歌舞伎俳優になることができなかった忸怩(じくじ)たる思いを持っていました。だからこそ、未来の歌舞伎界を担っていくであろう眞秀君には期待をかけている」

 眞秀と並び、子供世代のもう一人の主役として注目されているのは、十一代目市川海老蔵と小林麻央(17年没)の長男の堀越勸玄(6)だ。

「勸玄君も子供世代で存在感を放っている逸材。姉の麗禾さんも四代目市川ぼたんを襲名し、姉として、師匠としてしっかりと支えていくはず」(喜熨斗さん)

 親世代である、海老蔵としのぶも「六本木歌舞伎」で共演するなど、歌舞伎界のために切磋琢磨してきた。

「だからこそ、しのぶさんも海老蔵さんも子供たちに自らの思いを投影し、静かなバトルを繰り広げているはずです」(同)

 歌舞伎の子供世代からますます目が離せない。(本誌・羽富宏文)

週刊朝日  2019年8月30日号