阿波おどり振興協会の山田実理事長(c)朝日新聞社
阿波おどり振興協会の山田実理事長(c)朝日新聞社
遠藤彰良・徳島市長(c)朝日新聞社
遠藤彰良・徳島市長(c)朝日新聞社

 昨夏、徳島市などの実行委員会と踊り手の振興協会が対立し、大混乱した徳島名物の阿波踊りが8月12日、開幕する。今年は運営を民間委託し、中止を巡って両者が対立した最大の見せ場「総踊り」も復活する。

【写真】遠藤彰良・徳島市長

 阿波おどり振興協会の山田実理事長はこう状況を説明する。

「今年も総踊りをどうすべきか悩みました。そこで、阿波おどり振興協会のメンバー全員と話をしました。『日々、練習を積み重ねているのはこの日のため』『ぜひ踊りたい』との声に圧倒され、協力することにしました。令和初の阿波踊り、成功させたい」

 昨夏は遠藤彰良・徳島市長が総踊りの中止を決め、阿波おどり振興協会と激しく対立。その余波でチケットの売り上げも伸び悩み、2900万円の赤字を出した。

 長い阿波踊りの歴史で、今年はキョードー東京という民間会社が初の運営主体となったが、チケットの売り上げは芳しくないという。

「総踊りのある演舞場は、よく売れる。だが、総踊りがない演舞場のチケットがなかなか、売れませんね。チケットの売れ行きは5割程度だろう。11日前夜祭がありましたが、その照明ひとつにしても、毎年やっているようにいかず、その度に調整してもらっている。徳島市が主体の実行委員会とキョードー東京はうまく連携ができていない気がする。有名連の踊り手から愚痴も出ていますね」(徳島市関係者)

 また、お盆に台風の接近で天候が崩れると阿波踊りが中止される恐れもある。

  去年は大混乱する阿波踊りが全国ニュースとなり、テレビ出演のために阿波踊り最終日、天候が大荒れにもかかわらず、東京にまで出向いていた遠藤市長。だが、今年は静観だという。

「去年は自らがしゃしゃり出て阿波踊りは赤字で大失敗。総踊りを中止した悪代官のイメージがすっかり定着。それもあってか、今年はまったく阿波踊りには何も言いません」と前出の徳島市関係者。

 本来なら阿波踊りの準備で多忙な7月30日昼ごろ、遠藤市長は大勢のスタッフを引き連れ、東京の衆院議員会館に姿を見せたという。

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