暑い夏。上手に汗をかこう(c)朝日新聞社(※写真はイメージ)
暑い夏。上手に汗をかこう(c)朝日新聞社(※写真はイメージ)

 起きているときだけでなく、寝ている間にも汗はかく。就寝時や就寝中にも良い汗をかくためのポイントがあるという。

「夏は、できるだけ硬めの敷布団がいい汗につながり、昔のせんべい布団がいいのです」

 五味医師によると、身体の圧迫された部分は汗をかかず、その反対側だけ汗をかく。これを半側発汗という。硬い敷布団があたっていない蒸発しやすい方だけ汗をかくことになる。一方、柔らかい敷布団や、ふかふかのベッドで寝ていると、やわらかいので敷布団の側にも汗をかくが、蒸発しにくく、無駄な汗になってしまう。

 就寝中にも、特に高齢者は熱中症になる人が多いという。寝る前に水分を摂らないためだ。ただ、水分を一気にとると血液が薄まるので、就寝時間の1時間ぐらい前から、ちびちびと水分を摂取するのがいいと、五味医師は話している。

 高齢者は、夏の日中の外出時にも気を付けるべきことがあるという。冷えた部屋から外に出ても最初は汗が出ず、やがてどっと出てくる。高齢者は部屋を出る5分ぐらい前から部屋のエアコンの電源を消すか、部屋の外の踊り場的なところで2~3分ぐらい過ごし、じとっと汗をかくぐらいの「慣らし運転」をしたほうがいいそうだ。

 高齢者には大量に汗をかくような激しい運動が難しいため、軽い運動で早めに汗をかく準備をしてほしいと、医師で中京大学スポーツ科学部の松本孝朗教授はいう。

「少し暑い環境で、少しだけ苦しい運度を続ける」のがよく、毎日の軽い運動で1~2カ月ぐらいかかる。

 一方、汗をかくと、べたつきや、かゆみ、においが気になる人も多い。汗がたくさん出てくると、まわりの汗と一緒になって大粒の汗になる。汗そのものには病原菌はないが、皮膚上の老廃物を雑菌が食べ、においを出すという。松本教授は「できれば汗をかいた後に、なるべく早くシャワーで流すといい」と話す。

 ちなみに、人間は体温調節の仕組みがほかの動物よりも優れているという。

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