今度は「ふたりっ子」の時とは全然違って、ちゃんと成功させなければ!という責任感というか、その半年間NHKを背負うというプレッシャーも感じました。それは佳奈も同じだったと思います。

「だんだん」で役作りをする上で意識したのは、双子として生まれながらも、生まれて間もなくバラバラに別れてしまい、双子ということも知らないまま育ったという設定です。どうしても、私と佳奈の息が合いすぎちゃうんですよね。セリフのテンポもいい感じの掛け合いをしてしまって……。二人は生まれも育ちも違うわけですから。息が合いすぎないという演技は、難しかったです。

 私たちは、二人の声やリアクションがそろうみたいなところを注目していただいた時期もあり、10代のころはバラエティーなどでも二人一緒の仕事が多かったのですが、大人になるにつれて、「ニコイチ」でばかり見られるのは嫌だなという思いが出てきました。「佳奈と一緒でやっと一人前で、自分は二分の一の存在なんだな」と。

 それにどこか二人の中にライバル心があって、セリフを覚えたり仕事で努力したりしているところは隠していました。一生懸命やってるのを見られるのが恥ずかしくて、お互い、相手が家にいない時や寝ている時を見計らってやっていました。基本的に何でも話すんですけど、恋愛と仕事の悩みだけは言えなかったですね。

 小さい頃から、お互いばかりを意識していたんです。双子で、同じ学年で、同じテストを受けて、同じ仕事をして。自分が周りの中でどれだけがんばれているかよりも、「佳奈に勝った」とか、「佳奈よりダメだった」っていうことばかり意識して。

 そんな中で「だんだん」で演じたのが、「双子」ではあるけれどもそれぞれ全く違う個性を持った役でした。見てくださっていた方は、「あんたが舞妓さんの方で、あんたがギター弾いてる方ね」と、私たちを見分けてくださいました。視聴者の方が一人ずつとして見てくださっていたのが、すごくうれしかったです。

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個人の役者として歩み出す転機