大谷翔平は2年目のジンクスを跳ねのけられるか(C)朝日新聞社
大谷翔平は2年目のジンクスを跳ねのけられるか(C)朝日新聞社

 メジャーでのルーキーイヤーの昨年、22本のホームランを放ち新人王を獲得、二刀流批判を見事にはねのけた大谷翔平。2年目となった今年は、右肘の手術の影響で出遅れたが、さらなる成長ぶりをみせている。

 プロ野球のデータ解析などを行う株式会社ネクストベースの森本崚太さんは大谷の成長の要因を「ゴロ打球の減少とフライの質向上にある」と分析する。

「一般的に、ゴロだと75%前後アウトになりますが、対してフライは長打の確率が高く、ライナーだと30%前後しかアウトにならない。大谷の場合、2シームやカットボールといった打者の手元で変化するボールに対しても空振りしない器用さを持っているゆえに、角度をつけるのが難しいボールにも手を出してゴロを量産していました。それが、捨てる球と狙う球をうまく選球するようになり、メジャー1年目の8月以降はゴロを大幅に減らすことができた。打者としての完成度が劇的に高まった」

 メジャー1年目の8月以降の活躍は目覚ましく、48試合で打率.318、13本塁打。さらに、長打率と出塁率を足した「OPS」は.900以上で超一流の打者とされるところを、大谷は1.042とメジャー屈指の成績を残した。

 ただ、心配なのは右ひじの手術の影響だが。

「大谷にとっては右肘の負担が少ない左打ちだったことが幸いした。投手であれば通常は実践復帰まで12カ月以上かかるが、先に野手としての復帰が可能になったことで、今季は“打者・大谷”として実績を積むことができている」(野球雑誌編集者)

 もちろん、課題もある。2年目の今年、昨シーズンを上回る平均打球速度を記録し、長打も増えており、タイトルホルダーたちにひけを取らないポテンシャルをみせていたものの、左投手に対しては今年も思うような成績が残せていない。

「外角低めのボールはゴロ打球が多く、さらに左投手だと、フライ打球を打てるゾーンは一気に狭くなった。シーズンを通して昨年苦しんだ左投手、そして低めのコースは昨シーズンに続きも今年も課題になる」(森本さん)

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左投手の克服は?