現在も定期運行を続け、昭和初期に製造されたC10、C11など4両と、トーマス号、ジェームス号など、年間300日以上、SLが走っている。

「SLをもっと多くの人に知ってほしいと思い、2014年からトーマス号を走らせたら、30代から40代の大人や、お子さんのファンが広がりました」

 と大井川鐵道広報の山本豊福さん。この日も招かれた幼稚園児が楽しそうにしていた。

 大井川鐵道にはいくつかトンネルがある。入ると、窓から煙が車内に侵入してくる。石炭のにおいを嗅(か)ぎつつ、急いで窓を閉めるのもSLならではの、楽しい“お約束”である。

「今は燃焼効率のよい、煙の少ない無煙炭を使っているので、窓を開けていてもそれほど煙くないと思いますが」(同・山本さん)

 SLを運行するうえで欠かせないのが、機関車の方向転換をする転車台。大井川鐵道の新金谷駅、千頭駅に備えられており、千頭駅では手動で運転士、技師たちが力をあわせて押す姿を見ることもできる。

 方向転換には半回転すれば事足りるのだが、サービスで1周半してくれることもある。記者は前や横、後ろ姿とトーマスたちを見つめていられた。

 一方、懐かしい「汽車ぽっぽ」を再現しているのが、東武鉄道のSL大樹である。2017年、栃木の下今市‐鬼怒川温泉駅間で開業した。

「東武鉄道は1966年までC11型の蒸気機関車を走らせていました。復活したSLも当時と同じC11型です」

 と語るのは、東武鉄道日光・鬼怒川エリア営業推進部の守都正候(もりとまさとき)さん。

 ちなみにC11の「C」とは動輪の数を表す。「C」ならA、B、Cと3番目なので三つ。D51などの「D」は動輪が四つあることを意味する。

 現在東武鉄道が運行する蒸気機関車は、かつて霧の多い北海道を走ったものでカニの目のような二つの前照灯と、雪をかき分けるスノープラウが備わっているのが特徴だ。なかなかお目にかかれない、いかしたヤツじゃないか!

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