親や自分が年を取るにつれ心配になるのが実家のこと。まだ親も元気だからと問題を先送りすれば、後悔することになる。このお盆休みに「実家の大問題」について、みんなで話し合おう。
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「横須賀はもともと山とトンネルの街。坂道が多くて住みにくいんです」
神奈川県横須賀市に住む70代の男性はこう漏らす。自宅は急な坂や細い道に囲まれている。
「若い人たちは通勤や通学に便利なところに出ていき、残っているのは高齢者ばかりです」(男性)
周りには「売地」「入居者募集」と書かれた看板も目立つようになった。
同市は昨年、人口が約40年ぶりに40万人を割り込んだ。人口流出と高齢化が進み、空き家問題が深刻になっている。調査会社シンクダインの研究主幹で空き家問題に詳しい米山秀隆さんは、横須賀市に限らずどの自治体もリスクを抱えているという。
「4月に発表された住宅・土地統計調査では、2018年の空き家の数は846万戸、空き家率は13.6%と過去最高を更新しました。木造の戸建て住宅の空き家の割合が深刻になっています」
野村総合研究所は、国内の空き家は33年に1955万戸に増えると予測する。4軒に1軒が空き家となる計算だ。私たちの実家もそうなる可能性があり、ひとごとではない。
実際、相続で空き家の持ち主になった人はたくさんいる。国土交通省が戸建て空き家の所有者らを対象にした実態調査によると、所有者になった理由として「相続」が6割近くを占めた。今後5年の使い道を聞いたところ、「空き家にしておく」が3割で一番多かった。相続した家が、「塩漬け」になっている状況がわかる。
「思い入れがあったり家族で意見が合わなかったりして判断を先送りしがちですが、空き家の状態が続くほど家の価値は下がります。相続前から家族で話し合い、引き継いだら売却や建て替えといった対応ができるように備えておくのが理想です」(米山さん)
空き家は事前に準備し、早めに手放すのが鉄則なのだ。