野球人生の岐路に立たされる中日・松坂大輔 (C)朝日新聞社
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野球人生の岐路に立たされる中日・松坂大輔 (C)朝日新聞社

 中日・松坂大輔が野球人生の岐路に立たされている。7月27日のDeNA戦(ナゴヤドーム)で初回に1死しか取れず8安打8失点KO。メジャーを含めてプロ最短KOの屈辱だった。他球団のスコアラーの見方は厳しい。

「立ち投げのようなフォームで下半身が全く使えていない。全盛期の球の威力がないので、球を手元で動かすスタイルに変わりましたが、生命線の直球にキレがないのでことごとく痛打される。昨年はモデルチェンジした松坂に面食らった部分がありましたが、今年は相手球団も対策を練っています。今のままでは正直厳しいと思います」。

 ソフトバンクから中日に移籍1年目の昨年は日本球界で4241日ぶりの白星を挙げるなど6勝をマークしてカムバック賞を獲得したが、今年は試練が続いている。2月の春季キャンプ中に右腕をファンに引っ張られた際、右肩に違和感を覚えて戦線離脱。さらに、5月に2軍は練習日だったにもかかわらず、リハビリで訪れた関東でゴルフしていたことが週刊誌で報道されてファンからの非難が殺到した。

 野球で結果を出して信頼を取り戻さなければいけない中、1軍復帰戦となる7月16日の阪神戦(ナゴヤドーム)で5回2失点。結果だけを見れば及第点に見えるが、内容は芳しくなかった。

 前出のスコアラーはこう分析する。

「初回は1失点でおさまりましたが、1、2番に連打を浴びて大量失点になってもおかしくなかった。貧打の阪神打線に助けられた感があります。5回で完全にスタミナが切れていましたし、まだ1軍で投げる状態ではない印象でした」

 38歳右腕の置かれた状況は厳しい。チーム状況も連動している。7月に8連勝と上昇気流に乗ったが、その後に8連敗。5、6、7月と3か月連続の月間負け越しで、優勝争いから脱落。クライマックスシリーズ進出も苦しくなっている。

 13年から6年連続Bクラスと低迷している中、若返りを図って抜本的なチーム改革を求める声も多い。来季以降を見据えて経験を積ませるため、若手を積極的に起用する可能性も十分ある。松坂が来季の戦力構想に入るかは不透明な状況で戦力外通告もありうる。ここまで何度も奇跡を起こしてきた「平成の怪物」の復活劇はなるか。(梅宮昌宗)

※週刊朝日オンライン限定記事