「当時、芸人も少なくみんな吉本と契約があった。それを私はせんかっただけですねん。離れて8年後、島田紳助が『兄さん、吉本に戻ったらどうです』と声を掛けてくれた。彼が会社に掛け合ってくれたおかげで、復帰した。こういう芸人は私だけやおまへんで。(明石家)さんまの師匠、松之助さんも2回、吉本から離れて、戻ってきた。大平サブロー・シローも出戻り。吉本はファミリー的な会社であることは岡本(昭彦)社長が先日、会見で言うた通りやと思う」

 小軽さんはこう続ける。

「宮迫君、亮君が記者会見していろいろなこと言うてました。けど、芸人は個人商店、自己責任ですわ。彼らクラスならテレビ番組1本で50万、100万円とギャラがとれる。なんで会社を外した直の営業に行くのか? おまけにギャラをもらったんか。もらったら、すぐにそれを認めて、自ら謹慎しますとなぜ、言えなかったんか?時間が経過すれば、吉本は必ず、戻してくれる。そういう会社や」

 小軽さんは後輩の吉本のトップ芸人の思い出を語った。

「誰とは名前は言いませんが、吉本のトップ芸人を上場企業の社長が『パーティに呼んでくれ。ギャラは一千万円』と相談があった。パーティに顔だしだけで一千万円なんて破格な金額。二つ返事でパーティに顔だしでくれると思い、その後輩の芸人に頼んでみた。すると『兄さん、会社の仕事で十分です』と丁重に断ってきた。テレビに出れば500万円とかギャラをもらう後輩ですから、後から考えたら、危ないことしませんわ。そこが、宮迫君、亮君とは違った。だから今も、トラブルなく、トップを張っていれると思う」

 スキャンダルに揺れる吉本興業。当初は「闇営業」が問題となっていたが、今では企業体質が問われる事態となった。とりわけ、岡本社長が
「全員クビや」と恫喝したことで、批判を浴びた。

「私らの時代は『いつまでおるねん』『どや、そろそろやめるか』とよく言われた。今でいうパワハラですが、それでも吉本にしがみついて頑張ろうとやったもんです。しかし社長から『クビ』とは、言われたことないわ。冗談では通じへんな」

 そしてこうも加えた。

「私の逮捕の後に吉本の本社に何度か行った時、役員が同席している弁護士にえらく気を使っている感じがした。喋るのも、弁護士ばっかり。時代の流れで、コンプライアンスは大事でっせ、ようわかっています。けど、吉本は弁護士やなくて芸人の会社。なんか、さみしいなぁ」

(本誌取材班)

※週刊朝日オンライン限定記事