淳が経営陣を直接批判せず改革を支持する姿勢を見せたことで、反主流派とみられていたほかの芸人たちも、発言をより控えることになりそうだ。お笑いコンビ「極楽とんぼ」の加藤浩次は、経営トップの退陣を生放送で迫ったが、いまではトーンダウンしている。

 多くの芸人は経営陣の批判を避け、グダグダ会見をネタにちゃかすような場面が目立つ。淳も会見では冒頭次のように話し、笑いを誘っていた。もちろん岡本社長の5時間半もの会見や、「お前らテープ回してないやろな」というパワハラにつながる発言をいじったものだ。

「このタイミングで会見は僕も迷ったんですが、5時間半かからないように頑張りたい。念のためですが、みなさんテープをしっかり回して取材してください」

 会社の不祥事をネタに所属芸人が笑いを取れるようになれば、経営陣も“一息ついた”と思えるのかもしれない。

 だが、所属芸人の批判を押さえ込んだとしても、社会的な逆風はやんでいない。

「死亡しても責任は一切負いません」

 こんな規約がある誓約書の提出を、芸人養成所「NSC」の合宿参加者に求めていたことが新たに発覚。吉本は所属芸人の大半と契約書を交わしていなかっただけに、会社に都合のいいところだけ文書化するのかと批判を浴びた。吉本は、「修整したはずの誓約書がきちんと引き継がれていなかった」などと主張している。

 これには発言がトーンダウンしていた加藤も、自らがMCの日本テレビ系の情報番組「スッキリ」で8月1日、こうかみついた。

「ずさんですよ、やっていることが。引き継ぎして担当者が変わったら前に戻ったって。その理由がわからないし、なんでそうなるのかの説明もない」

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お笑い帝国に協力してきたテレビ局も改善要求