「がちキャラ」の設立会見でキャラクターに囲まれ喜ぶ田村淳=撮影・多田敏男
「がちキャラ」の設立会見でキャラクターに囲まれ喜ぶ田村淳=撮影・多田敏男
涙ながらの会見で吉本興業への不信感を訴えた田村亮=撮影・今村拓馬
涙ながらの会見で吉本興業への不信感を訴えた田村亮=撮影・今村拓馬
経営陣への批判がトーンダウンした加藤浩次 (c)朝日新聞社
経営陣への批判がトーンダウンした加藤浩次 (c)朝日新聞社
経営改革の具体策が問われる吉本興業の東京本部=撮影・多田敏男
経営改革の具体策が問われる吉本興業の東京本部=撮影・多田敏男

 反社会的勢力が関わる“闇営業”問題を巡り混迷している吉本興業。グダグダ会見で信頼を失った岡本昭彦社長や大崎洋・吉本興業ホールディングス会長は経営トップのまま。当初経営陣を批判していた芸人も、発言を控えるようになった。動向が注目されていたロンドンブーツ1号2号の田村淳も、吉本残留を明言。“加藤の乱”も鎮圧され経営陣は強気のようにも見えるが、問題はなお収束が見えない。

「僕は会社としては全力で反省して次の展開に動くというのを、中にいて感じている。また今まで通りの吉本興業に戻ると信じていますし、そうならないといけないです」

 淳は8月1日、報道陣にこう話し、吉本を辞めることはないと述べた。淳が登場したのは、着ぐるみなどのキャラクターのマネジメント会社「がちキャラ」の設立会見。自身が会長となり、キャラクターのイベントやPR活動に力を入れていくという、会見後の囲み取材で、吉本の経営陣が進める改革を評価した。

 相方の亮が宮迫博之と涙の会見を7月20日に開いてから、初めて公の場に姿を見せた淳。ツイッターでは経営陣への批判とも取れる書き込みをしていただけに、その発言が注目されていた。亮とともに吉本を離れるのではないかとの見方もあるなか、亮への配慮を示しつつ、残る意思を明かした。

「僕は吉本興業に育ててもらったので、吉本興業にいたいですけど、亮さんがどうなるかはわかんないんで。ロンドンブーツというものも守りたい、でも吉本興業にもいたい。僕の中でも岐路に立たされてる。吉本興業でなかったら世の中に出られなかったと思うので、そこは感謝しています」

 亮とは毎日電話で話しているといい、相方の状況を気づかった。

「会えないので電話で話してます。感情の起伏が今、激しいんです。すごく落ち込んでるときもあれば、すごく無理して笑ってるときもある。とにかく話は聞いてあげようと思って、毎日電話してる感じですかね。ロンドンブーツがどうするとか、亮の今後はどうするとかいう話よりも、普通に世の中で起きてることを話してますね」

 淳は、謹慎処分中の吉本の後輩芸人11人に、「米俵」を差し入れたことも話した。

「『千と千尋の神隠し』で、つらいときに握り飯を食って泣いている主人公を見たので、おにぎり食べたら元気が出るんじゃないかというので米俵にしました」

 淳は駐車違反の取り締まりを巡って自身も2012年に謹慎した経験があるだけに、後輩のつらさがわかるようだ。

「僕も昔、警察の方に迷惑をかけて謹慎したことがある。そのときに出口が見えないと、ほんとにしんどいんですよ。いつまで謹慎してればいいのかって。反省は毎日してるんですけど、出口がないとメンタルが壊れていくので。その出口だけは作ってあげてください」

 吉本はレイザーラモンHGやガリットチュウの福島善成ら一部の芸人については、9月にも謹慎処分を解く方針だとみられる。芸人が復帰すれば、問題の解決に向け一歩進むことになる。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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