「一之輔くんは子供がたくさん(3人)いて、よくやってるよ~。お金かかるでしょう~(笑)。俺なんか働いた分はみ~んな自分が使っていいんだよ~♪ 結婚なんてする人の気が知れないよ~♪」

 笑点における『結婚できないキャラ』はあくまでキャラなのはわかっていたが、ここまでドライだとむしろ気持ちがいい。できないんじゃない、したくないのだ。

「じゃあしたくないんですね?」「結婚なんてしたくな~い♪」「ほんとに?」「ほんと~に~♪♪」

 ……してるじゃないか。昇太師匠のお金理論に基づくと、「したくない」って言ってれば「しないorできない」んじゃないのか? したくないって言いながらしてる、できてる。もう何が何だかわからない。人間不信になりそうだ……と思ってたら、今度はお世話になっている野末陳平さんが87歳にして参議院選に出馬した。「最後のご奉公」だって!? 何にでも遅すぎってのはないのね……。

 そして私も今更ながらスマホデビュー! この原稿、何度途中で消したことか……。慣れないスマホで原稿書き書き、ようやくここまでたどり着いたよ。「フリック入力無理~♪ したくない~♪」って唄えば、フリック入力ってヤツができるようになりますかね~、昇太師匠?

週刊朝日  2019年8月9日号

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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