満島真之介(みつしま・しんのすけ)/1989年生まれ。沖縄県出身。2010年デビュー。12年、映画「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」で数々の新人賞に輝く。現在、大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」に出演中。大ヒット映画「キングダム」では壁役 [取材・文/菊地陽子、撮影/小黒冴夏(写真部)、ヘアメイク/齋藤将志]
満島真之介(みつしま・しんのすけ)/1989年生まれ。沖縄県出身。2010年デビュー。12年、映画「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」で数々の新人賞に輝く。現在、大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」に出演中。大ヒット映画「キングダム」では壁役 [取材・文/菊地陽子、撮影/小黒冴夏(写真部)、ヘアメイク/齋藤将志]

 今年の5月、30歳になった満島真之介さん。

【写真】俳優へのきっかけ語る満島真之介さん

 俳優デビューは9年前、東京芸術劇場で上演されたジャン・コクトー作の「おそるべき親たち」。家族に巣くう魔と欺瞞を描いたこの作品は、4年後に同じ演出、同じキャストで再演されるほどの評判を呼んだ。

「当時の僕は、役者としては新生児のようなものでした。その生まれたばかりの赤子のへその緒を切ってくださったのが、演出を担当した林弘高さんだったんじゃないかな、と」

 鮮烈なデビュー以降、ドラマや映画、舞台などに引っ張りだこに。とくに舞台は、蜷川幸雄さんが手がける話題作に立て続けに出演した。ところが16年の野田秀樹さん作「逆鱗」を最後に、19年まで、舞台からは遠ざかってしまう。

「舞台は、自分がその時持っているありのままが、剥き出しになってしまう場所です。正直、27歳から29歳までの3年間は、僕自身が自分の全てをさらけ出せるだけの覚悟が持てなかった。今年の春に、『チャイメリカ』という舞台に出演したんですが、この作品を通して、僕の中にあるエネルギーの質に変化を感じた。それまでは、ただ闇雲にカッカと燃えたぎっていて、目には大きな炎のように映るかもしれないけれど、派手なだけで、周囲の人も燃やしてしまうような勢いだった。でも今は、自分で言うのはおこがましいですが、炭火による遠赤外線のように、周囲をじっくり温められるエネルギーになっているんじゃないかと思うんです」

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