男子200メートル個人メドレーで優勝し、ガッツポーズをする瀬戸大也=諫山卓弥撮影 (C)朝日新聞社
男子200メートル個人メドレーで優勝し、ガッツポーズをする瀬戸大也=諫山卓弥撮影 (C)朝日新聞社
男子200メートル個人メドレーで優勝し、金メダルを手に笑顔を見せる瀬戸大也=諫山卓弥撮影 (C)朝日新聞社
男子200メートル個人メドレーで優勝し、金メダルを手に笑顔を見せる瀬戸大也=諫山卓弥撮影 (C)朝日新聞社

 韓国・光州の水泳世界選手権で瀬戸大也(25)=ANA=は最終日の7月28日、400メートル個人メドレーで金メダルを獲得。200メートルに続き、2種目めの東京五輪出場が内定した。日本勢の1大会2冠は03年大会の100メートル、200メートル男子平泳ぎで北島康介が達成して以来2人目。世界選手権の金メダルは通算4個となり、北島を抜いて日本選手の歴代最多となった。

【写真】金メダルを手に笑顔を見せる瀬戸大也

 水泳世界選手権会場が熱気に包まれた。25日の男子200メートル個人メドレー決勝、瀬戸は2種目めの背泳ぎで抜け出すと、一度もトップを譲らずに金メダルを手にした。競泳の五輪内定第1号だ。

「やったー! 最高ですね」

 両手を上げて、取材ゾーンに入ってきた。素直に喜びを表現する姿は、取材する記者たちを同じ気持ちにさせてくれる。

「完璧です。みんな絶好調ではなさそうだったので、チャンスだと思った。最後は死に物狂いでいった。去年もいっぱい苦しんで頑張った成果、ご褒美だと思う」

 自分を追い込んで吐きそうになるほど過酷な練習に取り組んできた。めげそうになったことはないかと問われると、

「ないですね。必要な練習だから。心は逃げてない。練習に関して怖さもないし、きついのは当たり前。乗り越えられたらいい結果がついてくるのが証明できた」

 と力をこめて言い切った。

 この話を聞いて、2015年のカザン世界選手権のころのコメントを思い出した。「練習しないで速くなれたら一番いいですよね」と屈託のない笑顔で話していた。自分の持つ勝負強さにかけていた節があった。

 梅原孝之コーチは、勝ち方の質の違いを語った。

「勝負強さは彼の持ち味。400メートル個人メドレーで初優勝した13年のバルセロナ世界選手権のときも調子が良かったけど、あのときはビギナーズラック。今シーズンは納得のいく練習が積み重なって、結果につながっている。より価値がある」

 敗戦が瀬戸を強くした。小学生のころからライバルの萩野公介(ブリヂストン)が400メートル個人メドレーで金メダルを取った16年リオデジャネイロ五輪は銅メダル。「悔しいオリンピックになった」と口にした。400メートル個人メドレーで3連覇がかかった17年世界選手権で銅メダルとなった際にも涙をのんだ。しかし「失敗しても繰り返さないのがいいところ」(梅原コーチ)。

 練習の質や栄養管理など、年々、着実に進化している。

 瀬戸はこう話した。

「2年間くらいトレーニングしてきたことを今回試して、見えてきた課題を来年までにつぶす。それができたら金メダルの確率も上がってくる。淡々とやっていきたい」。自分を冷静に見つめつつ、東京五輪の金メダル獲得に向けて、瀬戸はひたすらに走る。

(韓国・光州=長谷部愛)
 
※週刊朝日オンライン限定記事