万博についてPRするダウンタウンと松井一郎大阪府知事(現大阪市長)=2017年 (c)朝日新聞社
万博についてPRするダウンタウンと松井一郎大阪府知事(現大阪市長)=2017年 (c)朝日新聞社
吉本新喜劇に出演しG20の開催をPRした安倍晋三首相=4月、大阪市 (c)朝日新聞社
吉本新喜劇に出演しG20の開催をPRした安倍晋三首相=4月、大阪市 (c)朝日新聞社
吉本興業の拠点の「なんばグランド花月」 (c)朝日新聞社
吉本興業の拠点の「なんばグランド花月」 (c)朝日新聞社
政治や行政とのつながりも深い大崎洋・吉本興業ホールディングス会長 (c)朝日新聞社
政治や行政とのつながりも深い大崎洋・吉本興業ホールディングス会長 (c)朝日新聞社

 反社会的勢力が関わる“闇営業”問題を巡って、吉本興業はいまも混迷している。グダグダ会見で失った信頼はすぐに回復しそうもないが、岡本昭彦社長や大崎洋・吉本興業ホールディングス会長は続投。多くの芸人は主流派に逆らえず表向き会社批判を控えているが、不満は根強い。こうしたファンをしらけさせる展開の背景には経営トップの強い力がある。その力を支える源泉の一つが政治との蜜月ぶりだ。

【写真】吉本新喜劇の舞台に立つ安倍首相

「僕は吉本の芸人が誰一人やめることなく、楽しく吉本が普通の会社に戻るように願っている。それが出来るなら俺なんてノーギャラでもいい。自分には保身は一切無いのでそれで動いている。いま少しまとまりかけている」

 ダウンタウンの松本人志は7月28日にフジテレビ系「ワイドナショー」で、自ら問題の解決に動いていることを明らかにした。お笑いコンビ「極楽とんぼ」の加藤浩次との対立についても次のように言及。

「加藤に『全然好きに言ってええよ、俺は全然怒ってないから、ほんとにお前の思うように言ったらいいよ』と話した。たぶん嫌な思いもいっぱいしてきたんやろうから。そういう話をして、加藤の方から電話してくれるし、最近めちゃくちゃしゃべっている。なんにもVS構造ではない。全く同じ気持ち。ただゴールが少し2人の中で違いがあるので折衷案を探っている状態」

 建て直しのために自らが求めた社長の会見がグダグダになったことについては、こう嘆いた。

「自分たちで言うのもなんなんですが、僕も東野(幸治)も頑張って社長の会見までお膳立てした。いい感じの(バレーボールの)トスを上げられたと。そしたら岡本社長が(後ろにボールを弾くそぶりをしながら)こうやったと。まじかよーと。0点でしたね」

 社長の対応のまずさを強調する一方で、芸人たちには結束を呼びかけた。

「芸人が一体となって会社に改善を求めて、膿を出して、会社が悪いことをやっているなら正直に全部言ってもらう。そこを明確にしないんだったら、僕が全員芸人連れて出ますわ。それでいいです」

 松本としては、待遇改善や岡本社長の経営責任の一層の明確化などをとりまとめ、乗り切りたいようだ。だが、大崎会長と政治との深い関係が取りざたされるなど、問題はもはや一企業の内紛にとどまらない。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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ダウンタウンの育ての親の大崎会長