遼はだいぶ復調してきてはいるんですけど、1試合よかったからって、それが本当のカムバックとは言えないと思うんです。一回悪くなった人間ってのは、いろんなタイプのコースで対応できるかってのが問題なんですよ。彼も言ってたように、ドライバーのイップスになったと。ゴルフ場が変わって、同じことができるかどうかですね。そこがこれからの課題だと思います。

 そこがクリアできたら、彼は勝つ力を持ってますから。ほら、地方オープンにポンと出るとすぐ勝っちゃうじゃないですか。勝てる能力って、あるんですよ。遼は勝ち癖が体の中に染みついてますから。そのパターンへ自分で持っていくには、苦手なところ、シチュエーションの中でもゴルフができるかってことだけだと思うんです。その一歩としては、あの1勝は大きかったと思います。

 勝つ能力ってのは、教えてどうなる類いのもんじゃないんです。こればっかりはセンスなんですよね。「ここでとったら勝ちだ」とか、「ここが大事だ」とか、遼はジュニアのころから分かってるんですよね。そこは大したもんだと思いますよ。

週刊朝日  2019年8月2日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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