英国理髪店でそっけなくされるも…御理髪掛が見た新天皇陛下のお人柄

永井貴子週刊朝日#皇室

2007年、皇居外周をジョギングする徳仁皇太子... (11:30)週刊朝日

2007年、皇居外周をジョギングする徳仁皇太子... (11:30)週刊朝日
 理髪室は、徳仁皇太子にとって、身体を解放し心を休める場所である。1983年から2年間留学していた英オックスフォード大学での思い出や、公務で訪れた土地の人びととの触れ合いなど、思い出を語るひとときが、そこにあった。

【写真】1985年の秋、大学周辺で自転車に乗る浩宮さま(当時)

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 東宮御所の1階にある、新築した理髪室では、ゆったりとした曲のCDが、心地よく流れている。

 理髪専用の椅子に座る徳仁皇太子は、御理髪掛の大場隆吉さんに、留学時代の思い出を語りはじめた。

 まだ、昭和の時代。浩宮と呼ばれたころの話だ。

 1983年の6月。英国に到着してまもなく、ひとりで地元の理髪店を訪れた。

「髪をカットしてほしい」と伝えるが、店の主人はずいぶんそっけない態度で接した。皇族として生まれて、こうした扱いを受けたのは、あまりない経験だったのだろう。徳仁皇太子は、ほほ笑みながら、23歳の青年であった当時をこう振り返った。

「オリエンタルな若者がひとりでふらりとやってきたので、いぶかしんだのかもしれませんね」

 理髪店を訪れた日からしばらくすると、現地の新聞やニュースが日本の「Prince Hironomiya」が留学で滞在していると報じはじめた。

 こんどは、お付きと一緒に、同じ理髪店を訪れた。すると、店主は、うやうやしく「sir(サー)」と敬称をつけ、これ以上ないほど丁重にもてなしたという。

 徳仁皇太子は、思い出すように笑った。

「なるほど、普通はこういう対応をされるのだな、と思いました。いやあ、いい経験をしました」

 印象深い体験であったのだろう。徳仁皇太子は、この体験談を何度か、大場さんに語っている。

「思いもかけない体験をした場所に、もう一度足を運んでみる。そうした徳仁皇太子さまの行動からは、ほんの少しのいたずら心と、ご性格の明るさをお持ちの方なのだと感じました」

 93年に「徳仁親王」の著者名で、自身の英国留学時代の日常をつづった『テムズとともに』が出版された。そのなかで、徳仁皇太子は、<再びオックスフォードを訪れる時は、今のように自由な一学生としてこの町を見て回ることはできないであろう>と記している。帰国直後の85年11月に行った記者会見では、留学によって得た経験をこう述べた。

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