2009年にWBCで連覇を果たし、笑顔を見せるイチロー (c)朝日新聞社
2009年にWBCで連覇を果たし、笑顔を見せるイチロー (c)朝日新聞社
大坂なおみ (c)朝日新聞社
大坂なおみ (c)朝日新聞社

 56年ぶりの開催となる東京五輪が2020年7月24日に開幕する。開会式まであと1年。会場運営などをチェックするテスト大会の開催が本格化し、五輪機運が盛り上がっていく。チケット販売の混乱など課題を抱えながら、世界のアスリートを迎えるスポーツの祭典の準備は最後の1年に入る。

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■悲願の野球金メダルは引退したイチロー氏頼み

 東京五輪で最も注目される競技の一つが、2008年北京五輪以来12年ぶりに追加競技として復活する野球だ。公開競技だった1984年ロサンゼルス五輪以来の金メダルに期待がかかる。だが、侍ジャパンに不安要素は少なくない。

 在京スポーツ紙デスクはこう分析する。

「稲葉篤紀監督はNPB(日本野球機構)で指導経験がなく、大事な局面での采配に不安が残ります。また、エースと期待される菅野智之(巨人)が今年は本調子でないのも気がかりです。野手も国際経験が少ない選手が多い。外国人投手の動く球や独特の間(ま)に対応できるか不安ですね。現時点では正直、金メダルは厳しいと思います」

 五輪期間中も試合がある予定の大リーグは、所属チームが五輪の選手派遣を決める。ヤンキース・田中将大ドジャース・前田健太、カブス・ダルビッシュ有、マリナーズ・菊池雄星、エンゼルス・大谷翔平らは戦力として不可欠。チームが五輪出場を許可する可能性は非常に低い。

 また、西武・秋山翔吾、広島・菊池涼介、DeNA・筒香嘉智が大リーグに挑戦する意向を示している。今オフに移籍すれば、侍ジャパンのリストから外すことになる。

 ただ、打線の顔ぶれを見れば、侍ジャパン史上最強と言っていい。巨人・坂本勇人ヤクルト・山田哲人、ソフトバンク・柳田悠岐らがそろう。米国や中南米の投手たちに対応できれば、強力打線となる。

 そこで、アドバイザーとして待望論が起こっているのが、3月に現役を引退したイチロー氏だ。メジャーで19年間プレーし、外国人投手の特徴やデータを把握している。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)には06、09年と2回出場し、侍ジャパンを世界一に導いた。

 WBCでイチロー氏と共にプレーした選手は言う。

「世界の舞台で活躍しているイチローさんがいるだけで心強いし、相手の見る目も違う。東京五輪でもベンチにいたら大きな力になる」

 現在はマリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターだが、チームも東京五輪で米国を離れることに許可を出すだろう。招聘(しょうへい)を検討する価値は十分にある。

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