「心を寄せる」って実は…大センセイ“黒白つけない”が気になる (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「心を寄せる」って実は…大センセイ“黒白つけない”が気になる

連載「大センセイの大魂嘆!」

山田清機週刊朝日#山田清機
イラスト/阿部結

イラスト/阿部結

 ついでに言えば、あの時、テレビでやたらと連呼されたのが「ただちに健康に影響はない」という言葉であった。大センセイ、ひねくれ者であるから、

「ただちに影響はないということは、いずれ影響が出るかもしれないということだろうか?」

 なんて考えたものだが、これもコクビャクの一例であろう。

 結局、健康被害の問題は、現在に至るまでよくわからないままである。

 ついでにもうひとつ、近頃気になって仕方のないコクビャクがある。それは、「心を寄せる」だ。

 たとえば、

「○○さんは長年にわたって被災地に心を寄せてきた」

 なんて使われ方をする。

 でもさ、心を寄せるって、具体的にどういうことなんだろう?

 字義通りに解釈すれば、相手の心に自分の心を接近させるということになる。では、「理解する」とか「同情する」とか「共感する」と、いったい何が違うのだろうか。

 誠にモヤモヤするが、大センセイ、実は「心を寄せる」は立場を曖昧にしておくのに都合がいい表現なんじゃないかと疑っている。

 だって、下手に理解や同情や共感を示すと“こちら側の人間”、つまり味方だと思われちゃうからね。

 心を寄せる。

 ウハが、ウハウハするほど好きな言葉である。

週刊朝日  2019年7月26日号


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山田清機

山田清機(やまだ・せいき)/ノンフィクション作家。1963年生まれ。早稲田大学卒業。鉄鋼メーカー、出版社勤務を経て独立。著書に『東京タクシードライバー』(第13回新潮ドキュメント賞候補)、『東京湾岸畸人伝』。SNSでは「売文で糊口をしのぐ大センセイ」と呼ばれている

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