「一人娘だから親不孝と思われるかもしれませんが、会ってしまうと親の期待に応えなければ……と引き込まれてしまうのが怖いのです」

 結局、13年間、母親と連絡をとっていない。親の愛が子どもへの支配と呪いになり、互いに苦しむ親子は多い。

 トモコさんのようなケースについて、平松さんは次のように説明する。

「親は子どもに『より良くなってほしい』という願いがあり、それに際限はありません。それと同時に、『わが子は生きてさえいればよい』という願望があることも、子ども側は知ってほしいです」

 毒親と呼ばれる親と子の関係には、親は見返りを求め、子は期待に応えようとする気持ちがある。これがあると、お互いにつらくなることも指摘する。

「お互いに『相手が応えてくれなくてもいい、自分がしたいからしたんだ』という気持ちで接することで、関係はよくなっていくのではないでしょうか」(平松さん)

(ライター・前川亜紀)

週刊朝日  2019年7月26日号より抜粋