【価値観】結婚離婚…子どもの人生を認められない

「娘の離婚がワガママの結果だと思えてしまう。顔を見るとダメ出しをして、あきれられてしまいます」

 元教師のミサコさん(仮名、72歳)は、長女のことをどうしても「褒めることができない」と悩んでいる。夫も教師で「努力すれば、まっとうに生きられる」と子どもは厳しく育ててきた。次女は要領がよく、中学受験も成功して親が望む大学にすんなり入ったが、長女は2浪し、大学を中退。海外放浪の末に、会社員の男性と32歳で授かり婚をした。しかし、35歳で離婚。

「長女に離婚の相談をされたとき、『パパが校長先生になるまで、私は学年主任にすらならなかったのよ。男の人は立てれば伸びる! もっと頑張りなさい。子どものためにも絶対に離婚しちゃダメ』と言ったんですけど、我慢しきれず離婚。ホントにいい婿だったんですよ。穏やかで優しくて」

 と嘆くミサコさん。「3歳で父親と引き離された孫がふびんでならない」と話すが、それから8年間、長女は実家に頼ることもなく一人で子育てをしてきた。昨年、ミサコさんにがんが見つかったときは、長女が入院に付き添ってくれた。

「教師として、よその子のことはいくらでも褒めてきました。それなのに、『甘やかしてはダメ』だと思うからでしょうか、長女の離婚がワガママの結果のように見えてしまって、本当は頑張って子育てしている長女を褒めたいのに褒められないんです」

 ミサコさんは長女の話題になると、最後は泣きだしてしまう。ミサコさんはどう対応すべきなのか。

「あなたにとっては子どもでも、ご自身が70代であれば、子どもは酸いも甘いもかみ分けたオジサン・オバサンになっていることに気づいてください」

 と平松さん。無垢な子どものころと違い、押し付けられても言うことはきかないものだ。

「一方で子どもはいつまでも親に甘えたいもの。『我慢してでも結婚を続けなさい。離婚したら子どもがかわいそう』は、わが子を突き放すようなもの。厳しいことを言っても最後は包んであげる親心はいつまでも必要です」(平松さん)

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