燃える京都アニメーションの建物 (c)朝日新聞社
燃える京都アニメーションの建物 (c)朝日新聞社
火災現場では救助活動が続いた (c)朝日新聞社
火災現場では救助活動が続いた (c)朝日新聞社

 衝撃的な放火テロが起きた。数々のヒット作を生み出した有名アニメ制作会社「京都アニメーション」(京都市伏見区)が襲撃された。消防や警察などによると、死者は33人に達した。放火事件の犠牲者数としては平成以降で最悪となった。

【写真】火災現場では救助活動が続いた

 警察は燃料のようなものをまいた41歳の男を確保した。男は刃物を所持し、「死ね」などと叫んで火を付けたとの情報もある。

 18日午前10時35分ごろ、京都市伏見区の京都アニメーションの第1スタジオから煙が上がっていると通報があった。現場は京阪電鉄宇治線の六地蔵駅から約200メートルの住宅街。3階建ての建物内には多くの従業員が作業をしており、火の回りが早かったことから死傷者が増えたようだ。

 京都市消防局によると、消防車65台が出て救助活動を行い、18日午後9時過ぎに救出活動を完了した。死者は合計33人で、うちわけは男性12人、女性20人、性別不明の方が1人となっている。

 アニメ界では驚きと悲しみが広がっている。京都アニメーションは「京アニ」として、ファンの間では知られていた。

 2000年代から、次のように多くのヒット作品を手がけてきた。

「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」(06年)、「らき☆すた」(07年)「けいおん!」、(09年)「響け!ユーフォニアム」(15年)、「小林さんちのメイドラゴン」(17年)、最近ではNHKで今年1月まで放送された「ツルネ-風舞高校弓道部-」がある。

 いずれの作品も作画が丁寧で、キャラクターの描写に定評がある。地元京都など関西を舞台にした作品も複数あり、地方からの情報発信に力を入れていた。アニメ評論家の藤津亮太さんもその実力を高く評価する。

「京都アニメーションは、ハイクオリティーな作品を作り続けて来ました。会社の名前そのものが、一つのブランドになっていました」

 京アニではテレビや劇場版の新作も制作中で、今回の事件の影響が心配されている。アニメ界が慢性的な人手不足のなか、京アニは「プロ養成塾」を持ち優秀な人材を育成してきた。他社作品の制作協力もしており、今回の事件はアニメ界全体にとって大きな損失になる。

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今回の事件が多くの中小企業に衝撃を与えたわけは