提供を断る理由は、「仕事の都合」や「家族の反対」「介護や育児」など。リスクを知って消極的になった例もある。元東京大学医科学研究所特任教授で、血液腫瘍(しゅよう)内科医の上昌広さん(医療ガバナンス研究所理事長)は言う。

「骨髄移植では、健康な人に針を刺す。安全な医療行為ではあるものの、全身麻酔が必要で、ドナーに後遺症が生じるリスクもゼロではありません。登録時にそこまで詳しい話はできないので、候補者になった段階で詳しい話を聞き、『やっぱりできない』となるのです」

 登録した後、候補者として通知が来るまで、早くて数カ月から1年ほどかかる。つまり、2月以降にドナー登録した人には、これから徐々に通知が届くことになる。

 白血病治療の進歩は目覚ましく、抗がん剤で治るタイプも出てきた。一方で、こうした治療が無効な人や再発した人にとって、骨髄移植は唯一の根治療法だ。上さんは言う。

「骨髄提供は血縁者から受けることが多いですが、HLAが合わなければ、ドナーからの提供を待つしかない。今回、ムードで登録した人もいるでしょう。そういう人はもう一度考えてみて、提供が無理なら“取消”という選択を」(本誌・山内リカ)

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