・田淵式キック


仰向けになり、脚を斜め45度に蹴り上げる。頭を下に、脚を上にすることで血流やリンパの流れをよくすると同時に、蹴る動作がストレス解消になる

・田淵式絶倫スクワット
足を大きく開く。つま先は大きく外側に向け、膝も向きを揃える。背筋を伸ばした状態でお尻を落とす。この上下運動を30回行う。「これは即効性がある! インナーマッスルに効くので、男性なら勃起のスピードや硬さが2割くらい上がるし、女性も濡れやすくなります!」

・全身関節回し
体のすべての節を回してほぐすことで、血流やリンパの流れをよくする。手の指の第一、第二関節、根元、手首、肘、肩、足の指の関節、根元、足首、膝、股関節、腰の順に10回ずつ回す

 田淵さんは仕事柄、やはり性に関する相談を受けることが多い。いくつになっても性生活を楽しみたいのであれば、まずは睡眠、食事、呼吸等のバランスを整えることが先決だという。

「セックスはいわばジムの運動のようなもの。適度にやっておくと体調もいいし、若さも保てます。セックスができなくてもオナニーでもいいし、『あの人が素敵!』と思うだけでもいい。勃起や挿入にこだわるなら薬に頼ってもいい。でも、そもそも食事や睡眠などのバランスが整っていないと性欲自体は起きないものです」

 AV業界ではベテランの田淵さんだが、上には上がいるもので、80代の男優や女優も存在する。最近、空前の熟女ブームであることや、要介護の老人が若い女性介護職員と絡む“介護もの”のAVが流行していることもあり、シニアの男優や女優の活躍の場が広がっているという。

「82歳の男優は肌がつやつや。80歳の女優なんてよく濡れるし、62歳のセックスフレンドがいます! ずっとセックスし続けていれば、80歳になってもできます。あと、色気も大切な要素。自分の中の美意識として、色気を保つことを忘れないでほしいですね」

 田淵さん自身、30代の頃よりも52歳の今のほうがはるかに健康で、現場でも息があがったり、疲れたりすることもなくなったという。

「明らかにセックスの腕は上がったと思いますよ。女性への接し方や触り方、コミュニケーション能力は若手よりベテランのほうがうまい。ちなみに、男性器も若い時より伸びました。昔は小さくて家族にもからかわれていたほどだったのですが……。使う器官は進化して、使わない器官は退化するという『ラマルクの用不用説』がありますが、あれは本当でした(笑)」

 AV男優歴30年を迎え、これからも現役での活躍を考えていると思いきや、今は現場に執着はないという。

「健康法や体の使い方などは僕も日々勉強中の身。若い頃は良かったとか、もう年だからという人も多いのですが、年を重ねるほどに知恵や経験がついて賢くなり、体の使い方がうまくなり、コミュニケーション能力も高まる。人生ずっと右肩上がりで、こんなに幸せで素敵なことはありません。そんなことをいろんな人にも伝えたいと思っています」

(ライター・吉川明子)

週刊朝日  2019年7月19日号より抜粋