以前にも指摘したが、オールスターでは「オール直球勝負」といった対決ができるのは一部の選手である。自分の武器は何なのか。それを一番に考えて個性をぶつけ合ってもらいたい。「シーズンではできない勝負ができるのがオールスター」という考えは間違っていない。ならば、自分の特長は何なのか。それをよく考えて勝負してほしい。

 ペナントレースを見ると、セ・リーグでは巨人、パ・リーグではソフトバンクが首位固めの時期に入ってきている。ただ、オールスターで活躍した球団が、後半戦になって見違えるような活躍をし、ペナントレースで優勝争いをするといったこともかつてはあった。その意味でも、オールスターという素晴らしい歴史あるイベントを今後も大切にしていきたい。

 高校野球も全国各地で地方大会が開幕した。今年は大船渡の佐々木朗希投手など、投手で逸材が多いようだ。佐々木は、報道によれば、体が成長過程にあることを考慮して、全力投球は行っていないという。本来なら思い切り腕を振ってもらいたいと思うが、2番手以降の投手の質、甲子園を目指すといった目標の前に監督、本人が決断したことは誰も批判できない。過程を見守りたい。

週刊朝日  2019年7月19日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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