外が暑すぎるから、家の中に入ればいいと考えるかもしれないが、落とし穴もある。五味医師は言う。

「昼暑くて夜も暑い。そんな中、エアコンも使わず、窓を開けても熱風という室内に、日中からずっといたら、非常に危険です」

 孫が入ってきて、「ばあちゃん、こんなアツいところになんでいられるの!」と驚く。しかし、当の本人は自覚がない。

「熱い温泉に最初から入れば、『熱い!』とわかりますが、ぬるい湯がだんだん沸かされて熱くなったらわからないものです」

 外出しなければならないときはどうしたらいいのか。

「暑い夏でも、安全な方法を考えて、きちんと準備をして出かければいいのです。外出の機会が増えれば、暑さ慣れするだけでなく、孤立も防げます。『あら、あの人最近見ないね』と万一のときにすぐに気づいてもらえるというメリットもあります」

 そんな三宅医師がすすめる、外出先でも「熱中症に克つ方法」は、コンビニなどで300円ほどで売られているポリ袋に入ったかち割り氷や、水筒に氷を入れて持ち歩くことだ。

 氷があれば、出先で買った飲料を冷たい状態で飲むことができる。かち割り氷は、袋ごとタオルにくるんで。時間が経って氷が溶けても、外出先で氷枕として使え、最後は飲める。多くが、ジッパーつきなので、出先での開封も楽だ。

「その袋を、首や脇下、鼠径部にあてれば、全身を冷やすことができます」

 ほかにも、熱中症対策の商品はいろいろある。「日傘男子」という言葉も広まるほど、最近は男子も日傘を使うようになった。環境省も熱中症対策に日傘を使うようにと促している。「日傘なんて女子が使うもの」なんて古い。おじさん方も、マイ日傘を持ち歩き、直射日光から美肌と命を守ろう。(本誌・大崎百紀)

【汗腺トレーニング】
■まず熱めのお湯でイスに腰かけ、ひざから下を10~15分つける
■次にぬるめのお湯でみぞおちあたりまでの半身浴を10~15分

週刊朝日  2019年7月19日号