楽天に移籍した巨人の和田恋(C)朝日新聞社
楽天に移籍した巨人の和田恋(C)朝日新聞社
巨人に移籍した楽天の古川侑利(C)朝日新聞社
巨人に移籍した楽天の古川侑利(C)朝日新聞社

 巨人楽天の間で成立した古川侑利と和田恋の交換トレード。7月7日に発表された一報を聞いた時、他球団の編成スタッフの間では驚きの声が上がったという。

【写真】巨人に移籍した楽天の古川侑利

 セ・リーグのある編成担当は、こう悔しさをにじませた。

「和田恋は右の長距離砲として他球団の間でも人気でした。でも、まさか古川を出すとは……。右のパワーピッチャーで将来はエースになる素材です。巨人の巧みなトレード戦略にやられましたね」と悔しさをにじませた。

 23歳と若く、近未来のエースと有望された古川がトレード要員のコマになっていると想定できなかったのは、前述のコメントをした編成担当だけではないだろう。

 2013年秋のドラフト4位で、佐賀・有田工高から入団。将来の先発ローテーションの軸として期待され、順調に育っていた。昨年は6月5日の巨人戦(東京ドーム)で5回1失点と粘投してプロ初勝利をマーク。4勝9敗と負け越したが、投球回数は98イニングとチームで4番目に多かった。

 今季は8試合に登板して1勝2敗、防御率6.34。6月22日のDeNA戦(横浜)は初回にわずか1死しか取れず7失点の大乱調で降板したが、先発した8試合中6試合は五回以上投げてすべて3失点以下に抑えている。

 スポーツ紙の楽天番記者も驚きを隠さない。

「古川はまだ23歳。将来は楽天のエースになれる可能性が十分にありました。それだけ和田恋の打力を高く買ってのトレードだということなんでしょうが……」

 古川は小さなころは巨人ファン。松井秀喜に憧れてプロ野球選手を目指したという。

 最速150キロを超える直球にスライダー、カーブ、チェンジアップを織り交ぜる本格派右腕は、菅野智之、山口俊という同じタイプの良きお手本がいる。また、古川の加入は若手投手の良い刺激にもなるだろう。

 救援から先発に配置転換された桜井俊貴が3勝(7月7日現在)をマークと頭角を現しているが、畠世周、鍬原拓也は1軍に定着できず伸び悩んでいる。原監督も古川の力を高く評価しており、先発ローテーションに組み込まれる可能性も十分だ。

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