「20代前半から中盤の、『周囲の邪魔にならないように、失敗しないように』と、芝居にブレーキをかけがちだった僕に対して、『そこまで笑いに真剣に取り組もうとしている若手はいないんだから、もっと笑いを極めれば?』と言ってくださったのも福田さんでした。ドラマの『スーパーサラリーマン左江内氏』にしても、『今日から俺は!!』にしても、福田さんに、映像でコメディーをやる機会をいただけて。そこから、失敗を恐れず、トライすることができるようになったんです」

 福田さんの尊敬する点を聞くと、「いい作品を作る、その一点に対してものすごく厳しいところ。楽しさよりも厳しさが一番です」と話す。

「舞台は、修業です。絶対につらい思いや悔しい思いをするし、とくにコメディーは、日によってお客さんのリアクションが違うので、それによって自分のメンタルに気づかされたりもします。でも、だからこそ成長できるんじゃないか、と。先輩たちの凄さは、才能はもちろんですが、それに加えて、“百戦錬磨”であることからもきていると思う。僕自身、どんどん舞台の現場で鍛えられ、磨かれていきたいですね」

(取材・文/菊地陽子)

週刊朝日  2019年7月12日号