逆にセ・リーグは最下位のヤクルトが交流戦でも巻き返せず、借金は増えてしまった。ただ、巨人にしろ、広島にしろ、爆発的な強さがあるわけではない。首位の巨人は不安定な状態のエース菅野が、本来の状態にどこまで戻せるか。原監督がやりくりしながら、何とか貯金を作ってきているが、やはり軸がしっかりしないと、安定した戦いはできなくなる。大きく抜け出すチームは現状見当たらないから、リーグ戦再開前で4位のDeNAくらいまでは、優勝するチャンスがあるのではないかな。

 梅雨の時期、そして夏場は春先から順調に成績を残してきた選手の疲労がピークに達する時である。ここからはファームの戦力を含めて各チームのやりくり、中長期的な育成、強化の成果が試される時でもある。ファームから抜擢(ばってき)された若手、そして出場機会をうかがってきたベテランがチームの勝利にどう加わるかで、順位も違ってくる。

 ソフトバンクが交流戦で示した控え選手を含めたチームとしての強さは、補強だけの問題ではない。各球団で2軍にいる若手、ベテランがどう取り組んできたか。「9人野球」の時代はとっくに終わっている。

週刊朝日  2019年7月12日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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