「原告側が商業映画とし一般公開するとは聞いていなかったという、言った言わない論争になっています。互いの主張はあるとは思いますが、作品の内容については、見た人が判断するものです。提訴によってより注目を浴び、お客さんが入っていくと思います」

 映画では、慰安婦について27人の論者によるそれぞれの主張を、テンポよく展開している。
「デザキ監督は、双方の異なる主張を存分に引き出している点において優れていた。おそらく、取材を受ける側は、(当時監督が)大学院生ということで、口が軽くなったのかもしれません」(大島さん)

 デザキ氏を評価する一方で、大島さんは問題点も感じている。
「保守派の人たちを、『歴史修正主義者』と、作品の早い段階で呼んでいたのは残念なことでした。それでは、決めつけになってしまう。監督が本当は中立な立場ではないということが、わかってしまうからです」

 やはり賛否両論を巻き起こす作品のようだ。ツイッター上の感想も、「日本に生きててなんとなく感じていた不穏の正体をつかめたような気がする」といった肯定的なものから、「政治的イデオロギー色彩の強い内容で少しがっかり」といった否定的なものまで幅広い。裁判の行方も含め、今後も話題になりそうだ。

(本誌・岩下明日香)

※週刊朝日オンライン限定記事