16年4月に就任した初の女性指揮官、高倉麻子監督(51)のもと、先制されるとオランダ戦を含めて17戦未勝利(2分け15敗)。途中出場した籾木結花(23、日テレ)が流れを変える役割を果たしたが、与えられた時間は約20分だった。大会を通して、選手交代を含め指揮官の後手に回った采配が目に付いた。

 ケガを承知で招集した阪口夢穂(31、日テレ)、大会中にふくらはぎの違和感で別メニュー調整となった宇津木瑠美(30、シアトル・レイン)のベテラン2人が全く出場できなかったのは不運だったかもしれない。だが、そもそも選手選考には疑問があった。

 高倉監督は帰国後、「(選手に得点を)決め切る力がなかった」と嘆いたが、昨季なでしこリーグ最優秀選手賞(MVP)で3季連続得点王のストライカー田中美南(25、日テレ)は招集外。佐々木則夫前監督時代には絶対的なFWとして君臨し、今も強豪米国のトップリーグNWSLでプレーする永里優季(31、シカゴ・レッドスターズ)に至っては招集の気配すら見せなかった。

 早期敗退の理由として、ベンチワークの責任は少なくない。

 それでも、大会後まもなく続投話が出ているようでは、来年の東京五輪も期待できそうにない。(栗原正夫)

週刊朝日  2019年7月12日号