地震の発生地と日本周辺のプレートの図解(東京大学地震研究所・古村孝志教授作成)
地震の発生地と日本周辺のプレートの図解(東京大学地震研究所・古村孝志教授作成)

 強い揺れが人々の寝入りばなを襲った。6月18日午後10時22分、山形県沖を震源とする地震は、新潟県村上市で震度6強を観測した。国内で震度6強以上は、北海道胆振東部地震で厚真町が震度7を観測した昨年9月以来のこと。震源の深さは約14キロで、マグニチュード(M)は6.7だった。

 総務省消防庁によれば、けが人は新潟、山形、宮城、秋田、石川の5県で33人に上った。日本海沿岸部で津波注意報が出されたが、新潟市で10センチ、新潟県粟島や山形県酒田市などで微弱な津波を観測した。

 今回の地震は、北海道の日本海側から新潟沖に延びる「日本海東縁部」と呼ばれるひずみが集中する一帯で起きた。この一帯は東側の北米プレートと、西側にあるユーラシアプレートの境界にある。

 地球物理学者の島村英紀・武蔵野学院大学特任教授が解説する。

「二つのプレートが東西からぶつかり合い、どんどんひずみがたまっています。岩盤が押し合ってずれることによって起きる『逆断層型』の地震です。この活動によって、北海道から新潟にかけての日本海側は、たびたび強い地震に見舞われてきました」

 1964年に死者26名を出した新潟地震では、液状化現象によって県営アパートが大きく傾き、橋が落下するなど建造物への被害が大きかった。このほか83年には秋田、青森、北海道で死者104名を数えた日本海中部地震、93年には奥尻島を津波が襲うなど、死者202人を出した北海道南西沖地震などを引き起こしてきた。

 今回の地震による家屋の損壊は新潟と山形を中心に145棟に及んだが、震度6強を記録しながら倒壊は少なく、屋根瓦が落ちる、塀が倒れるといった被害が目立った。被害が限定的だった理由について、島村氏はこう話す。

「新潟地震M7.5、日本海中部地震はM7.7でしたが、今回は6.7です。その差はたった1のように思われるかもしれませんが、地震のエネルギーに換算すると32倍にもなるのです。エネルギーが大変小さかったため、倒壊などの被害が大きくならなかったのです」

 東京大学地震研究所の古村孝志教授によると、木造家屋を倒壊させるのは、周期が1~2秒でユッサユッサと揺れる「長周期地震動」で、本地震がその典型だ。今回の地震は、周期が0.2~0.5秒で小刻みにガタガタガタと揺れる極短周期の揺れだった。加えて、建物じたいが雪国仕様で強かったことも理由に挙げられる。

 古村氏が説明する。

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8分で津波が到達した日本海中部地震