鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中
鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中
テレビ朝日「モーニングショー」番組公式Twitterから
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 放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は番組で使われる「パネル」について。

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 TBSでドリフの「8時だョ!全員集合」が作られたおかげで、美術力が一気に上がったなんて言われている。生放送で、セットの中にパトカーが突っ込んだりするわけだから、それは美術力も技術力も上がりますよね。フジテレビでは「オレたちひょうきん族」が作られて以降、「作り物」と言われるコント番組がずっと作られてきたので、そこからコントに必要な衣装やカツラ、小道具などの能力が一気に上がったとも言われている。番組が各局のいろいろな能力を上げていくのだと思う。そう考えると、今はコント番組や作り物番組が減ったので、そういう能力はもしかしたら停滞していってしまうのかも、と思うと残念な気もするが。

 テレビ番組の歴史の中で、進化しすぎて、また元に戻ることもたまにある。例えば、出演者がしゃべっているときに出るスーパー。10年ほど前に、「これ出しすぎだろ」ってところまで行って、減ってきて、絶妙な感じになった気もする。編集のテンポが速すぎる番組もあったが、それもまた元に戻った。テレビ番組って、進化と元に戻ることを繰り返しながら、視聴者に合わせている。

 そして僕が今一番テレビ番組ですごいと思ってるもの。究極のアナログだが、とんでもなく発達していると思うものがある。それは情報・ニュース番組のパネルだ。事件やニュースを一枚のパネルにまとめて、アナウンサーが一枚ずつめくっていくという光景、誰もが目にしたことがあるだろう。パネルなんてものは昔からあるのだが、数年前から情報・ニュース番組で一気に増えた。その前は、VTRでまとめて見ていくスタイルが多かったのだが、逆にアナログに、スタジオで解説していくようになった。アナログなのだがパネルはとんでもない進化をしている。

 僕もこの4月からニュースバラエティーをやり始めて思うのだが、一つの事件やニュースを一枚のパネルにまとめていくのはとんでもなく難しいことなのだ。しかも、番組ごとにパネルの癖がある。答えを先に書くスタイル、疑問を書くスタイル、スタジオで解説する人の写真まで入っているスタイル。とにかく細かい。個人的にはTBS「ひるおび!」とテレビ朝日「モーニングショー」のパネルの完成度はすごいと思う。

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鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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